あなたは資産形成をしたその後作った資産をどうするつもりか考えていますか?
人は必ずどこかの時点で老いて死にます。資金だけ準備しておくだけで老いや死に対して十分な準備と言えるでしょうか?
違うと思います。
老いや死に直面した時に人生の高い幸福度を維持していくためには、事前の計画と準備が必要です。
世の中には「お金はあの世に持っていけないので死ぬまでに使い切った方が良い」という考え方があります。
私はそれに同意しつつも、その計画だと人生の後半で幸福度を維持できない可能性があると考えます。
今回は資産を残す OR 使い切るべきの議論に関する新しい考え方を紹介します。
この記事を読んだ後にあなたが老後の資金をどうやって運用し使っていくかについて考えるきっかけになることを期待します。
資産を使い切る計画のリスク
資産を使い切る計画の代表例は「4%ルール」といわれているものです。ある時点から資産の4%を毎年取り崩していくというものです。
例えば、あなたに5,000万円の資産がアリ年間3%で運用できるとします。また、資産全体の4%を毎年取り崩すとしましょう。
この場合、取り崩し開始から30年程度であなたの資産はゼロになります。
60歳になったときからこの4%ルールを実行すると90歳くらいで資産がなくなる計算です。
平均寿命からすると90歳ごろにはもう亡くなっている可能性の方が高いので、無事資産を使い切って人生を終えることができるうわけです。
あなたには年金もあるので老後で給与所得がなくなっても生活するには十分な資金があるでしょう。
ただ、この議論は一つ重要な要素を考慮していません。
それはお金があることによる安心感です。
資産は老後の安心感の基盤
資産があると精神的に大きな安心感ができます。
お金は安心の基盤なのです。
その安心の基盤である資産が長期にわたってどんどん減っていくというのは生活の安心感が減っていくことでもあります。
私自身は給与所得がなくなったことはないですし、4%ルールで取り崩したこともないですが、株価下落などで資産がお大きく減ったときにはかなり不安になりました。
人間は今持っているものを失うとかなりの喪失感を感じるものです。
4%ルールは理論的にはあり得ると思うのですが、老後に常に精神的な不安感を抱きながら過ごす羽目になるのではないかと危惧しています。
お金を全部使い切って死ぬことより、老後に生活の安心感を維持することのほうが重要ではないでしょうか
資産の取り崩し方に関する新しい考え方の導入
老後の安心感を維持するという観点を老後の資金計画に導入してみましょう。
もちろん、人生のある時点、例えばあなたが45歳〜50歳になる頃からは資産を取り崩すべきです。一生資産をどんどん増やしていくことに意味はありません。
ただ、死ぬときに資産をゼロにするのではなく、90歳時点でご自宅とは別に金融資産を2,000万円ほど残すように計画してはどうでしょうか。
例えば、以下の条件で計算するとあなたは毎年2.78%資産を取り崩せることになります。
初期資産:5000万円
取り崩し開始年齢:50歳
運用利回り:3%
90歳時点で残す資産:2,000万円
私の提案は、取り崩す割合を万人共通で4%とするのではなく、個々人の
- 取り崩し開始年齢
- 取り崩し開始時点の資産
に応じて計算で求めることです。
できれば資産形成を開始する段階で何歳で年間何%取り崩すのかを一旦話し合って決めておきましょう。
仮にでもこれらを決めておくことで人生全体の計画を立てることができます。
そして年に1度程度微調整していけばいいでしょう。
まとめ
この記事では、老後の資産運用に関する新しい考え方を紹介しました。従来出口戦略4%ルールとして知られている資産の4%を毎月取り崩し死ぬまでに全部使い切るプランがよくネットで話されていますが、この記事では老後の安心感を重視し、90歳時点である程度の資産を残すことを提案しています。
資産を使い切る計画は精神的な不安感を抱える可能性があるため、生活の安心感を維持することが重要です。結局老後はお金が安心感の元ですから。
具体的には、初期資産、取り崩し開始年齢、運用利回りを考慮して個々人に合わせた取り崩し割合を計算することを提案しています。
例として、初期資産が5000万円、取り崩し開始年齢が50歳、運用利回りが3%、90歳時点で残す資産が2000万円の場合、毎年2.78%の資産を取り崩すことができることを示しました。
資産形成初期の段階からあなたも老後の資金運用について考える考えておき、資産形成を開始する段階で取り崩しの割合を決め、年に1度程度微調整しておきましょう。
準備すれば憂なしと言いますので、十分な計画をして、高い幸福度を維持しながら老後を過ごしましょう。