資産形成の手段として米国株インデックス投資以外に、高配当株の投資もあります。
配当利回りが4%や5%といった株もたくさんあり、たしかに高配当を受け取り続けられれば資産は増えていくようにも見えます。
私も以前高い配当利回りに釣られてさまざまな個別株を買っていましたが、ほとんどは失敗でした。
今から振り返ると高配当株投資なんてやらずに全部S&P500インデックス投資にしていたほうがずっとよかったと感じます。
今回は初心者にとって高配当株よりS&P 500インデックス投資がおすすめな理由について説明します。
高配当株の魅力とリスク・問題点
高配当の魅力
高配当株は確かに魅力的です。
銀行口座の利息がほとんど0%な時代に三菱商事の配当利回りは4%近くありますし、三井住友フィナンシャルグループの配当利回りも4%を超えています(注:初稿執筆時点)。
100万円をこれらの株に投資していれば年間税引き前で4万円近くの配当を受け取ることができます。
非常に魅力的に感じますね。
高配当株のリスク:配当が減り、株価が大きく下落するリスク
でも、リスクと問題点もあります。
高配当株というのは、配当が高すぎる場合があるのです。利益のほとんどを配当に回しているような会社もありますし、高い配当を維持しないと株価が維持できないような会社もあります。
会社の利益は業績によって変動しますので、何らかの理由で利益が急激に落ち込んだり、赤字に転落してしまった場合は配当を出せなくなる可能性もあります。
高い配当利回りによって株価を維持していた企業が配当を出せなくなれば、必然的に株価は大きく下落していきます。
例えば、東京電力は過去安定した配当株と言われていましたが、原発事故に伴い配当を出せなくなり株価は暴落しました。私が過去投資していた銘柄では青山商事はかつて高配当株でしたが、コロナによりスーツの需要が急減した結果無配に転じ株価は暴落しました。
住友化学も高配当株ですが、業績悪化により減配しています。
もちろん、中には減配を極力しない会社もありますが、「配当の原資は利益」ですので利益が出なくなればどんな会社でも出せなくなります。
高配当は魅力ですが、配当は減らされることもあり、受け取った配当金を大きく上回って株価が下がってしまうこともしょっちゅうあるのです。
高配当株の問題点:高配当株投資には時間がかかる
配当を減らされる、株価が大きく下落するのもリスクなのですが、私が高配当利回りの欠点とみなしている他のこともあります。
それは「高配当株投資は時間がかかる」ことです。
世の中には上場株はたくさんありますので、色々調べていくのに非常に時間がかかるのです。
また、一旦「これで永久保有だ!」と思っても市場の状況が変わっていくとどうしても保有株は見直さざるを得ない場合があります。あなたが一度選んだ個別株を本当に永久保有できればそれはそれでいいのですが、私の経験上そういうわけにも行かない可能性が極めて高いのです。
銘柄の入れ替えをするにしてもまた調査が必要で、高配当株はずっと継続的な調査が必要になり、時間がかかってしまいます。
投資というのは時間をかけたからといって成功するわけでもないので、私は投資にそれほど時間をかけるような投資方法は人生の幸福度を上げるものではないと考えています。
高配当株の問題点:配当には税金がかかる
配当には所得税が約20%かかります。
定期的にもらえる配当はたしかに魅力的なのですが、配当をもらうたびにその約20%を税金で払っているのです。
それよりは、配当はないけれども株価なり基準価格がその分上がっていくような投資の方が税金状お得です。
資産形成過程で収益の20%も税金で持っていかれるような投資方法が、果たして多くの人にとって最適でしょうか?
私には非常に疑問です。
S&P500投信投資が高配当株より優れている理由
私は資産形成の観点ではS&P500投信への投資が高配当株投資より優れていると考えています。
その理由は、
- 時間の節約:S&P500投信投資なら殆ど時間を使わなくても資産形成ができる
- 税金の節約:S&P500投信投資なら資産形成途中で収益の20%を取られるにその分複利で収益が回っていく
- 自動的な銘柄の入れ替え:S&P500投信投資なら何もせずとも銘柄の入れ替えを自動的にやってくれる
- 大負けしない:個別株の高配当株投資に比べて値動きがマイルドで大きく負ける可能性が低い
です。世界の資本市場は基本的には右肩上がりに上がっていきます。大きく負けずに継続的に資本市場にお金を投じ続けることができれば基本的には全員が勝って資産形成に成功するものです。
これらはどれも資産形成をする上で重要なことです。
高配当株のタイミング
資産形成をするならS&P500投信を使うのが良いと考えていますが、私は資産形成のステージによっては高配当株を取り入れてもいいとも考えています。
それは40代中盤くらいで資産形成で一定の成果を上げ、資産を使うことに方向性をガラッと変える段階です。
インデックス投資は資産形成には向いているのですが、それをずっとやっていると資産を減らすことができません。
インデックス投資で資産を運用しその 4% を毎年切り崩していくという投資戦略は存在するのですが、おそらく自分の意思で資産を切り崩していくことって難しいです。
人はどうしても何かを失うことに恐怖を感じてしまいますので、せっかく築いた資産を減らすというのは精神的に大きな負担になるものです。
逆に、配当金は降ってきたものですのでそれを全額使うことは精神的に困難ではありません。
また、個別株投資であればその個別株を売ることもそんなに精神的に困難ではありません。
高配当株投資をやる時があるとすれば、資産を形成し終わって積極的に取り崩していくステージに入ってからではないかと私は考えています。
まとめ
高配当株投資には魅力があるが、減配・株価下落リスクや投資活動に時間を奪われる問題点も存在します。これに対し、S&P 500インデックス投資は時間の節約、税金の節約、自動的な銘柄の入れ替え、大負けしないといった利点あり、資産形成段階では後者の方が適当だと考えています。
ただ、資産を形成し終わって積極的に取り崩すステージになった際には、高配当株投資を取り入れることも検討しても良いいでしょう。